王子がお家に住み着いた!
「まだ暫定だけど君は王太子妃、そしていつかは皇后だ。今まで周りの目から隠す為に王妃教育はしてなかったからね。ここで学んで貰おうと思って」
「で、でしたら私が王宮に伺いますわっ」
「王妃教育は過酷なものだと聞いている···もちろん君のマナーなどは素晴らしいから、そこまで心配しなくても問題ないとは思うけど···こちらの都合で教育開始が遅れてしまったんだ、せめて君が一番落ち着ける公爵家で学んで欲しいと思ってね」

そう説明され、確かに、と思わず納得しかけてーーー····言いくるめかけている事に気付き慌てて反論する。


「百歩譲って我が家での王妃教育は納得致しましたし、お気遣いとても嬉しいです。し、か、し!私の教育とルイスがこれからも公爵家にいる事は関係ありませんわ!」

必死にそう主張すると、少し考えた様子のルイスは····

「でも、ここが私の部屋なんだよねぇ」
「王宮にもありますわよね!?」
「ここにもあるんだよねぇ」

それはそうだが、体が、体がもたないの!!
もう少し慣れるまではせめて週に一度···!
でもここにいたら下手すれば毎晩···!?


ひぃ!と慌て、せめて味方であろうメイドを思い切り振り向くが···

「今更すぎますお嬢様。諦められるのがよろしいかと」

ゆっくり首を左右に振られ、がくりと項垂れる。


「大丈夫、大切なエメの為なんだから昨日みたいに手加減する」
「う、嘘つきぃ!!!」

相変わらず標準装備しているその微笑みに、やはり絶望と···そして微かな甘い期待が私の胸を擽るのだった。





ーーーいや、それでもやっぱり王宮に帰ってよっ!!!

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