身代わり婚約者との愛され結婚
 好きだと思った人を犠牲にして、自分の都合を押し付けるような恋なら手放すべきだとわかっているから。


「ん? 抵抗しねぇの」

 私の体に手を伸ばしたベネディクトは、少し意外そうな顔を向けた。

「手を払われるとか思っていたのかしら」
「蹴り飛ばされる覚悟もしたんだがな」

 何も面白くないのに、ははっと笑ったベネディクトはせめてもの抵抗でベッド端の壁に背中をぴたりとつけたままの私を品定めするように眺める。

 
“本当に不愉快な視線”


 じろじろと見られるのが不快なのか、それともレヴィンじゃないから不快なのかはわからなかった。
 
 
「ま、どうせ初夜にはヤるんだ。それが少し早まっただけだと思って受け入れろよ」
「こんなことしなくても、婚約者同士よ」
「これ以上先延ばしにされんのは困るんでね」

“借金ね”

 流石に督促がきたのか、それとも遊ぶお金が欲しいのか。

 私の想像したニークヴィスト侯爵の狙いが、ベネディクトの兄との婚姻による公爵家の実権なら、……どうせレヴィンと結ばれないならば。


“そうよ、条件ならベネディクトが一番だもの”
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