身代わり婚約者との愛され結婚
 以前クラウリー伯爵家が王城のパーティーの飾り付けを担当した時の話を思い出し、それをこの目で見れるのかと思うと憂鬱だったなんて嘘のように夜会が楽しみになった、のだが。


“でも花をどうやって王都に運ぶのかしら”

 王城の飾り付けとなると、かなりの量の生花が必要になるはずで。

 何台もに分けてニークヴィスト領を通れば、それだけでも通行料が高額になる。
 しかも現在の通行料は従来の三倍にもなっているのだ。

“もし通行料が払いきれず王城の飾り付けに失敗してしまったら……”


 まだ噂話だけだったクラウリー家の没落が、一気に現実味を帯びた気がして背筋が冷えた。
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