身代わり婚約者との愛され結婚
 キリキリと軋む首。

“息が……!”


 近くに警備のための騎士がいても、助けを呼べなければ意味などない。
 
 首を絞められ声が出せなくなった私は、ベネディクトの腕に必死に爪を立てるがびくともせず、それどころかどんどん私の視界が白く霞み指先に力が入らなくなって。


「何しているんだッ!」
「ぅぐっ」

 意識が途絶えそうになっていた私の視界が突然黒に染まる。

 
「ティナ……!」

“あぁ、この黒は――”

 きっと明るい太陽の下で濃紺に輝く、私の特別な黒なのだとそう思った。

 
「わたし……の、好き……色……」

 大好きな、レヴィンの色。


「しっかりしてください! ティナ、ティナッ」

 私の背中に腕を回したレヴィンが必死に声をかけながら体を擦ってくれると、気道がちゃんと確保できたお陰かケホケホと咳き込みつつもなんとか視界に色が戻ってきて。


「レヴィ……ン」
「ティナ!」

 私の体をふわりとレヴィンが抱き締める。
 花の甘い香りのする彼に包まれると、安心感から力が抜けてそのまま彼に身を預けた。


「なんでお前がここにいるんだよッ!」
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