身代わり婚約者との愛され結婚
 欲しいものは何でも家に届くこともあり、あまり街でお買い物ということに縁がなかった私は、誰かへのプレゼントをこうやって自分の足で買いに行くなんて初めてで。

 そして私のそんなわくわくした様子に気付いたのだろうレヴィン様は、くすりと笑いながら街に行くことに同意をくれた。



 エングフェルト家の馬車に二人で乗り込み、大通りの端で下ろして貰った私たちはゆっくり並んで歩き出す。

“そういえば、誰かと二人で出掛けるのって初めてかも”

 家族とならばもちろんあるし、ハンナを連れて買い物に出掛けたことだってもちろんある。
 
 けれどプレゼントを選びに行くことも、そして同年代の男性と一緒に行くのも初めてだということに改めて気付いた私はドキリと胸が跳ねた。

 ……だってつまり、これは。

「もしかして、デート……というやつなのでは」
「え?」

“!! しまった、口に出て……っ”

 あ、と思った時にはもう遅く、口から出てしまったその言葉に焦る私。

「違うのです! これはその……っ」

 なんとか誤魔化したいが全く何も思い付かず、じわじわと顔が熱くなった。
 
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