身代わり婚約者との愛され結婚
 真っ赤に染まってしまっただろう顔を見られたくなくて、けれどどうすればいいかわからず額に汗が滲みはわはわと口だけを動かしていると。

 
「そうかもしれませんね」
「……へ?」

 しれっと同意したレヴィン様の言葉に唖然とする。

“そうかも、しれない……?”

「俺は今ベネディクトの代理でここにいる訳ですし、それはつまりこの瞬間はアルベルティーナ嬢の婚約者ということになりますよね」

“レヴィン様が、私の婚約者?”

 確かに婚約者の代理でここにいる彼は、まさしく身代わりの婚約者とも言えなくはないけれど……
 

「婚約者同士が二人っきりで街を散策するならば、それは紛れもないデートです」
「!」

 ふわりと笑顔を向けながらそう断言された私は、段々とその通りのような気すらしてしまって。

“私が慌てていたから、わざとそういう言い方で肯定してくれたのね”

 そしてその彼の優しさに、私の胸の中に温かいものが広がる。


「ですよね?」
「……はい、今はレヴィン様が私の婚約者ですものね」

 レヴィン様の気遣いを嬉しく思いながら私もそっと頷いたのだった。

 
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