身代わり婚約者との愛され結婚
“ベネディクトとの茶会日以外で二人っきりなんてはじめてね”

 それも次は身代わりとしてではなく、レヴィン本人としてなのだ。


 むず痒いような心地いいような気持ちで胸がほわほわとなんだか温かい。
 言葉にし辛いこの感情に私自身が戸惑っていると、彼がお辞儀し私に背を向けたことに気が付いて。


「ま、待ってっ」
「ティナ?」
「あ、その……」

 思わず彼の服を掴んでしまい、わたわたと慌てる。
 けれど義務でしかなかった茶会が終わることを寂しく感じているだなんて当然身代わりでしかない彼には言えなくて。


「そ、そのっ、……き、キス! まだお別れのキスをしておりません」
「キスですか?」

“な、何を言ってるの私はぁぁあっ!”

 自身の口から出たその爆弾に頭を抱えてしゃがんでしまいたい衝動に駆られるが、公爵令嬢としてそんなはしたない行動なんて出来るはずなくて。

 けれど口に出してしまったことを今更どう撤回したものか、とぐるぐる思考を巡らせていた、その時だった。


「愛しい貴女に祝福を」
「ッ」

 私の左手をそっと取ったレヴィンが、手の甲にそっと口付けを落とす。
 
 そして。
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