身代わり婚約者との愛され結婚
 良かったです、なんて笑うレヴィンの濃紺の髪だけでなくその笑顔すらもがキラキラと輝いて見えた。


 一輪一輪が大きめのガーベラだったので持ち歩くには適さず、見送りに出てきてくれていたハンナに頼んで寝室に飾るように頼む。

 すっと出してくれたレヴィンの腕に手を添えた私は、レヴィンにエスコートされるのは二度目だな、なんてぼんやりと考えていた。


“前回はあくまでもベネディクトの代理として身代わり婚約者のレヴィンとのお出かけだったけれど”


 今回は正真正銘の、レヴィン・クラウリー伯爵令息とのデート。
 それも、ハッキリとデートと銘打ったお出かけで。

“それだけでこんなにくすぐったいだなんて”

 胸だけでなく足元すらもほわほわとしながら、クラウリー伯爵家の馬車で劇場まで向かった。


「評判がいいと聞いていたけれど、どんなお話なのかしら」
「よくある不幸な立場の令嬢が運命の相手と恋に落ちて幸せになる物語らしいですよ」

 馬車内で向かい合って座ってそんな会話をする。

 もちろんオペラの内容が気になっているのは嘘ではない、嘘ではないのだが。


“向かい合わせ、なのよね”
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