アンハッピー・ウエディング〜前編〜
トカゲ・カメレオンエリアの次は、カエルエリア、それからカメエリアなどがあった。

そこでも、専属アンドロイドガイドの久露花さんと、橙乃さんが解説してくれた。

…解説って言うか、戦うときのポイントを教えてくれただけだけど。

これで俺、日常生活で爬虫類に襲われても、ある程度落ち着いて対処出来そうな気がする。

…日常生活で、爬虫類に襲われるような奇跡が起きれば、の話だけだな。

まずないと思うよ。普通に生きてたら。

そして、一通り順路を巡った後。

最後に。

「こちらが売店。お土産物屋さんですね。『爬虫類の館』に来た思い出として、是非お土産を買っていってください」

ようやく、お土産ショップに辿り着いた。

はー。短いようで凄く長かった気がする。

「お土産ですか…。むっ、見てください瑠璃華先輩。ワニクッキーだそうです。きっとワニ肉をふんだんに使ったクッキーなんでしょうね」

ワニ肉のクッキーだと…!?

と、思ったが。

「引っ掛かりましたね、琥珀さん。私も最初はそう思ったのですが、残念ながらそちらのクッキーの原材料に、ワニ肉は使われていないそうです」

「え?ワニ肉を使ってないのに、何故ワニクッキーなんですか?」

「ただ、ワニの形をしたクッキーだからだそうです」

「優良誤認詐欺ですね」

あー、成程。ワニクッキーってそういうことね。

良かった。ワニ肉を使ったクッキーなんて、気持ち悪くて食べられないよ。

…良いじゃん。メロンパンだって、メロン使ってないけどメロンパンって言うだろ?

そういうことだよ。

「お土産…何買っていこうかな…」

寿々花さん、何が欲しいんだろうな。

ハムスターランドで、ぬいぐるみ買ってたからな…。ぬいぐるみとか?

でも、爬虫類のぬいぐるみなんて欲しがるだろうか。

どんなに可愛くデフォルメされてても、ヘビやワニやトカゲのぬいぐるみは、さすがにキモいって言うか…。

いや、キモいと言ったら可哀想だな。キモ可愛いって言おう。

「おすすめのお土産は、こちらの爬虫類キーホルダーです」

久露花さんが、おすすめのお土産を案内してくれた。

ニシキヘビとかナイルワニとか、この『爬虫類の館』に展示されている動物のキーホルダーが、何種類も並べられて売っていた。

これがおすすめ?

「前回来たとき、私と奏さんもこれを購入したんですよ。私はニシキヘビ、奏さんはナイルワニのキーホルダーを」

「…うん。あれ、未だに家にあるよ…」

車椅子の青年は、何処か遠い目で呟いた。

…やっぱり、苦労してんだな。あんたも。

「折角の機会ですから、私から皆さんにプレゼントしましょう」

え、ちょっと?

止める間もなく、久露花さんは売り場にあるキーホルダーを何種類か、かごに入れてレジに持っていった。

そして。

「どうぞこちらを。はい、あなたにも。あなたにも」

俺と雛堂と乙無の三人に、それぞれ爬虫類キーホルダーをプレゼントしてくれた。

…何これ。

「私はこちらを。それから、琥珀さんと奏さんにもありますよ」

「ありがとうございます、瑠璃華先輩。これは…」

「三人共、コモドオオトカゲのキーホルダーです」

「お揃いということですね。三人でお揃い…。友情を感じますね」

コモドオオトカゲで繋がる友情って、一体。

ちなみに俺はキングコブラ、雛堂はエリマキトカゲ、乙無はガラガラへビのキーホルダーだった。

正直要らないんだけど、要らないとも言えなかった。

…どうも。有り難くもらっておきます。
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