黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「はぁ……」

神殿の庭園にある花壇の前に小さくしゃがみ込んで深いため息をつく。

「どうすればいいのかしら、シエナ様」

ウィル様の婚約者となり皆が祝福してくれている。
神殿にある私が聖女の力を込めた煌めきを放つ水晶には『一目見たい』『聖女様の優しい力を浴びることができる』『病が治る』と連日たくさんの人々が神殿に訪れている。

ウィル様のプロポーズは私を見つめていた時間が長く、かなり情熱的なものだったようだ。
それに対して私のウィル様の頬の辺りを触ったことによる『とても愛している』の返事。
神殿の青く澄んだ色の水晶には『恋愛成就』の効果もあるという噂まで広がっていて、何でもありな状態だ。
『恋愛成就』は保証はしませんからね!

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