14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 電車に乗っているときも、スーパーマーケットで買い物をしているときも、そして今も、彼女の話が本当なのかずっと考えている。

 優里亜さんの言う通り、私は大和さんのプラスにはなれない。
 彼は彼女を愛しているのに、私にはかけがえのない女性のように扱ったの……?
 私を捜してくれたのは、優里亜さんの代わりだったの?

 色々な考えが脳内を目まぐるしく駆け巡るが、普通の男性だったら、絶世の美女と言ってもいいくらいの優里亜さんの方を取るだろう。しかも父親はアメリカ大手の銀行を経営している実業家なのだから。

 そこでハッとなって、時計を見る。
 あと三十分ほどで大和さんが帰宅する時刻だ。

 急いで鶏肉や白菜、えのきなどの野菜を切って、しいたけは飾り包丁を入れる。
 出汁スープを土鍋に入れて煮立たせているうちに、玄関が開く音が聞こえてきた。
 十分ほど帰宅するのが早かった。

 そしてすぐにグレーのカシミアのミディアム丈のコート姿の大和さんが姿を見せた。
 手を止めて「おかえりなさい」と言って、料理へと戻る。

 どんな顔をすればいいのかわからない。

「ただいま」

 コートを脱いで大和さんは二段の小上がりを進み、私の所へやって来て、背後から抱きしめると髪にキスを落とす。

「家の中へ入って、奥さんが料理している姿っていいよな。ホッとする」

「まだ、お……奥さんじゃないわ」
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