すばらしき男たち(1話完結)
 ある夜、悠真はショットバーのカウンターで一人、カクテルを飲んでいた。
 今日、女性上司に仕事のミスを叱責され、うつうつとした気分だった。
 一杯飲んで帰りたかった。
 飲み干したカクテルグラスを見つめながら、ぽつりと言った。

「俺、やっぱり会社辞めようかな……」

 程なくして、カウンターの少し離れた席に女性が座った。
 年は俺と同じか、少し上ぐらいか。

 彼女は女のバーテンに
「いつもの」
 と言ってウィスキーの水割りを頼んだ。

 チラチラ見ると、長い髪で女性にしては身長は高い方に見えた。

 スラっとした体つきにスーツを着こなして、少し冷たく感じる横顔だった。
 でもたまに笑うと、とてもチャーミングだった。

 彼女と目が合った。
 俺は思わず目をそらした。

 しばらくして彼女が俺の隣の席に腰掛けた。

 どぎまぎした。

「さっきから」
 彼女は俺を見つめた。
「私のこと見てましたよね」
 なんとなく有無を言わせない雰囲気があった。

「はい」
「何か気になることでも?」
「いえ」
 彼女から目をそらした。
「きれいな人だなと思って」
「ふふ」
 俺のグラスが空いているのを見て
「マスター、私と同じものを一つちょうだい」

 彼女は大手企業で働くマネージャーで、名前は美樹(みき)といった。
 年は俺より一つ上だった。

 俺は、今の仕事がつらくて転職を考えていると、ぽつぽつと話をした。

 その日は連絡先を交換して分かれた。
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