俺の好きな人【完】
「…ごめん、また忘れた」
俺はこうやって嘘をつく。
だって神橋さんと話したいから。
「もう…またー?」
少し怒ったように、頬を膨らませて腕を組む神橋さん。
この光景何分でもみていたい。
宮野先生というのは、クラスの担任の先生で、来月から産休に入るのでみんなで寄せ書きを書くことになっている。
カラフルな画用紙をいろんな形に切り取って、各々メッセージを書いて仕切ってくれている神橋さんへ渡さないといけない
「ごめん、明日こそ持ってくるからさ」
明日も持ってくる気はないけど
こうでもしないと神橋さんと話す機会がないから
こんなこと知られたら気持ち悪がられるだろう
「お前、まだ出してなかったのかよ!?」
隣で聞いていた玄太が驚いた様子で声をあげた