クールな君の甘さを知れば
気づけば、なるちゃんはもう家の中。
言い逃げは卑怯だよ、なるちゃん。
「もー…なるちゃんのバカ」
玄関に入ってその場にしゃがむ。
顔に手を当てたら、またもや熱い。
「…うん、勉強しよ」
ここでうずくまってたって意味ないからね。
身に入らなそうだけど、テストは待ってくれないし。
赤点とって、温泉旅行がぱあになったらそれこそ嫌だから。
「頑張ろう」
独り言をこぼして、早速部屋に向かった。
*
「…と、いうことで!無事に旅行当日を迎えられて良かったね海琴ちゃん!」
「なんか色々すっ飛ばしてる気がするけど、大丈夫かな?」
あれから約2週間後。
テストもなんとか乗り越え、お母さんにもお父さんにも許可をもらうことができた私は、これから1泊2日の温泉旅行に向かおうとしている。
今は穂乃果ちゃんとバス乗り場の前で男子2人を待っているところ。
え、やっぱり早すぎ?もっと色々あったでしょって?
それは私もそう思うけど、特に何もなかったといえばなかったんだよね。
「大丈夫大丈夫。お母さんたちに許可はもらったんでしょ?私も海琴ちゃんも赤点もなかったし」