クールな君の甘さを知れば
「2人ともおはよー。もしかして一緒に来たの?」
なるちゃんと長谷川くんが口を開くより先に、気になることを聞いてみる。
すると
「違う」
と、なるちゃん。
「たまたま会っただけだから」
と、長谷川くん。
「そ、そんな2人して否定しなくても…」
そして、そんな2人を前に苦笑する穂乃果ちゃん。
……うん、ちょっと間違ったかも。
このメンツで1泊2日の旅行とか、心配になってきちゃったよ。
「…たまたま乗った車両に、長谷川くんがいたんだよな」
すると、空気を察したなるちゃんが長谷川くんに視線を送る。
長谷川くんもそれに応えて、「はい」と頷いた。
あ、良かった…凍ってた空気が溶けた気がする。
なるちゃんも、一応年上だもんね。
さすがに面識がないからって、いつもの無愛想じゃないみたいで安心。
「九條先輩、今日は旅行に付き合っていただいてありがとうございます」
それにほっとしたのか、穂乃果ちゃんがなるちゃんにペコッと頭を下げた。
「いや、こっちこそありがとう。日下部さんが誘ってくれたって海琴から聞いて、お礼が言いたかったんだ」
「いえいえそんな!九條先輩が来てくれて、海琴ちゃんも嬉しいと思います。ね?海琴ちゃんっ」