逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 王宮にバッハス軍の動向が伝えられた。

 国軍の会議室に参謀や各部隊長が集結している。
 壇上からアーロンが、
「斥候隊の報告では山岳地帯を移動中とのことだ。歩兵も含めての速度なら明日の夜半にこの王都に到達するだろう」
「明日の夜半に?」

「予想よりだいぶ速い。歩兵はすべての荷を荷車に預けて身軽に走っているそうだ」
「なんと!」

「明日の夜半に到達するとしてだ。敵はこの王宮の周辺や内部に詳しくない、暗闇での侵入に踏み切るほど愚かではないはずだ。攻めてくるのは明後日の早朝だ。各部隊は対応を急げ。各門を閉ざして閂をかるのだ。塔の物見台も抜かるな、怪しい動きを見落とすな」
「はっ!」
 
 彼らが四方に散っていく、それを見てアーロンは別室に向かった。

 そこにワイトがいた。


          * * * 

 
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