逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ラナの赤ん坊の機嫌が悪かった。
 なにが不満なのか大声で泣き続けている。

「すみません、すみません」
 ラナが頭を下げて謝った。

 バッハスがこの洞窟に近づいている。
 彼らがこの声を聞きつけたらどうなるか。
 誰もが困惑した。

 負傷兵が寝返りを打って背を向けた。
 その心理が手に取るようにわかった。
 
 ラナは焦っていた。思わず赤ん坊の口に手を当てた。声をふさごうとしたのだ。
 フギャーフギャーという声がくぐもる。
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