逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 リズと執事がぐったりしていた。

 リズは方々に指示して声が涸れ、執事は大量の招待状を書いて腱鞘炎になった。

「お前ら、張り切り過ぎだろう」
「いえ、ほんの少し休憩をですね」

 と、執事がアーロンの手を見た。白い封筒を持っている。
「シュテルツからだよ。頻繁にやり取りすることがあってな」

「なんという事を。王宮の使いならいつも私が受け渡しをしておりましたのに」
 玄関におとないが来たのも気付かなかったのだ。
 
「別にいいじゃないか、俺が直接受け取っても」
「それはそうなのですが」
 律儀な彼がしょげた。
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