逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
『しらを切るのか? おとなしくした方が身のためだぜ。なんなら一緒に俺の屋敷に来てもらおうか』
 ドスを利かせて詰め寄った。

 それでもソフィーはじっと見つめてくる、それだけだった。
 芝居か、それとも本当に持っていないのか?

『とにかく連れて来るのだ、屋敷に連れて来て話はそれからだ。ラクレス邸に人がいなくなれば家探しもできるからな』

 父ケイネはそう言っていた。後へは引けなかった。

 と、
『お嬢様、ついて行くことはないですよ』
 後ろから声がした。
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