逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 グリントールの王都、その北側に商人の屋敷が集まっている街がある。

 大通りに朝日が差し込み、馬車や荷車が行きかっていた。御者が鞭を使って先を急がせ、歩く人も早足だ。

 その道に沿ってひときわ大きな建物があった。

 庭にここの主であるカライルが立っていた。
 目の前には、白金に光る大きな物体がある。
 楕円につぶしたようなそれは山で見たときより輝いている。まるで真珠のような光沢だ。しかも貴重な金属の一種だと思えた。

「・・さてさて、これをどうしたものか」
 カライルは、腕を組んで考えていた。


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