『苦しめてごめん・・』―消せない過ちを悔いる日々―
『甘えるんじゃない、こちらも独りで頑張ってるんだから友里も人に頼るばかりじゃ駄目だ』



「あぁ、ちょっと厳しいかな。後で少し文を変えて使わせてもらうよ」



 そう言ったのに返事は早いに限ると言い張り、根米はそのままその文を
友里にあてて勝手に送ってしまった。



 なに勝手なことをと言いたいところだが普段世話になっているし
今では深い仲にもなっていて、思っただけで口に出して言うことはできなかった。



 後で友里にはフォロー入れればいっか、そう思うことで自分に折り合いをつけた。



「ちょっと厳しかったかもだけど、メンヘラ気味な人には厳しくしたりやさしくしたり
こちらがコントロールしてやらないとだめなのよ」


「・・・」


「ほんとよ! 私にもメンヘラな友達がいてその辺のことに私、慣れてるからまかせて」


「あぁ、分かった」


 結局忙しさにかまけて、その日俺がフォローのメールを友里に入れることはなかった。




 そして根米作のきつめのメールが功を奏したのかしばらく友里から連絡がくることはなく、
ほっとしていたのだが。



 あの日の返信から2週間余り後、とんでもない内容の書かれたメールが友里から届いた。




『子供ができたかもしれない』との連絡だった。




 先々月に帰省した時の・・と思い当たる節があるだけに俺の心臓のドキドキが止まらない。



 今まで自分から友里からきたメールを根米に見せることはなかったのだが、この時ばかりは
自ら進んで根米に見せ『困ったぁ~』と愚痴を吐いてしまった。


           ◇ ◇ ◇ ◇


 それは残業でオフィスに残っていた時のこと。



「困ったことになった。
あちらに帰っても長居できないのに、そんな中で彼女一人での出産や子育てが心配だ」
 



 手に取って俺のスマホの中の画面をジ―っと見つめる根米。


 そんなにじーっと眺めなきゃならないほどの文字数ではないはず。


 また返信用の文言を能力全開で考えてでもいるのだろうか。



 俺は現実から逃避するかのように友里からのヘルプ要請もうっちゃって、
根米の横顔に集中した。

< 11 / 33 >

この作品をシェア

pagetop