『苦しめてごめん・・』―消せない過ちを悔いる日々―
33才と適齢期を少し越してしまっている根米菜々緒がこの時考えていたこと、
それは・・。
神尾と深い関係になる前に一度何気なさを装って恋人はいるのかと聞いたことがあった。
神尾の返事は『いない』だった。
だがその後、彼女はいないという神尾に頻繁にメールを寄こす女性がいることを知り、
もう一度恋人ではないのかと聞いたがただの同級生だと言う。
そして今回その友里という同級生から『妊娠した』のだという連絡がきている。
ただの同級生を妊娠させるというのか? 普通はあり得ない話だ。
しかも、産んだ時のことまで心配している。
おそらく付き合っているのだろう。
だけど自分はそこはスルーをし、どこまでも彼女のことは
神尾の友達ということにしておこうと決めた。
恋人、妊娠、SEX、子供、結婚とこの5つのWORDSが根米の頭の中を駆け巡った。
この友里という女を恋人? あるいは恋人未満? の座から引きずり落とし、
なんとしても自分が神尾の彼女の坐に就くことをこの時根米は決意したのだった。
今まで神尾との結婚など考えてもみなかった。
自分が年上という負い目もあったので彼とは深い仲になれただけで満足していた。
けれど、この友里からの妊娠の連絡で大きく気持ちが結婚へと傾いた。
どうして気持ちが変化したのか、うまく明確な言葉で表現できない。
無理だと諦めていたものが何故かワンチャンありそうな気がしたから、としか言いようがない。
元々だ、上手くいかなくて元々。
上手くいけば温厚で容姿端麗の若い男との結婚が実現するかもしれないのだ。
子供を持つことを考えてもここは勝負に出るべきではないのか?
そんな風なことをこの時の根米菜々緒は考えていた。
結婚をして子供を持ち、主婦になって普通の幸せを掴みたいという夢が
急に膨らみ始めた。
横には心許なげに私の表情と次に繰り出す私の反応を
窺っている神尾がいた。
「ね、今妊娠してて産まれてくる子ってほんとにあなたの子なのかしら?」
と神尾の不安を煽りまくる作戦に出た。
「・・ってこともあるし彼女一人じゃとてもワンオペで子育てできそうにないなら、
今回は堕ろしてくれって言ってみたら?」
続けてもう一押ししてみた。