『苦しめてごめん・・』―消せない過ちを悔いる日々―
 
 他人を悪者にせずにはいられない心境だったのだ。

 一番悪いのはやることをやっておきながら責任もとれない自分だということを
分かっているからこその逃げだった。


 神尾はやけ酒の苦さに胸が焼けそうだった。


 食事が終わり、その後神尾と根米はこれまでのようにホテルにしけ込んだ。


 その夜部屋に入ると根米から

『慰めてあげる。神尾くんは悪くないよ、悪くない。今だけでも嫌なこと全部忘れさせてあげる』


 そんなふうに耳元で囁かれ、唇にキスを落とされた。




 今日の根米は花柄総レースのスケスケシースルーブラウス の上から
ベージュのカーデガンを纏っていた。


 熱いキスを交わした後、根米はカーデガンを素早く脱ぐと、神尾にスケスケのレースから
垣間見える豊満な胸を見せつけるようにして浴室に向かった。



 昨日の今日だ、ここは絶対外せない大勝負の時である。



 なんとしても、なんとしても、神尾を自分の最大限の魅力を駆使し
虜にして振り向かせなければならない。



 シャワーを浴びながら『あんな田舎者の友里とかいう女、私の魅力で忘れさせてやる』
と息巻くのだった。


 また友里に対する仕打ちを見て根米に対するイメージが変わったものの、
ストレスがあったり酒の作用があったりで、この夜も神尾は根米と熱くて
濃厚な時間を過ごすのだった。



 そしてその後、嘗て一度も無かったことだが迂闊にも体力を使い果たした神尾は
うとうとしてしまい、それはその様子を窺っていた根米の顔を綻《ほころ》ばせるのに
充分だった。
 


 根米は神尾が意識を手放したのを用心深くチェックし
神尾のスマホからまんまと友里のアドレスをGet。




 内緒で撮ったこの日のツーショットをメールで友里に送り付けた。


『子供のことでうじうじ泣いて神尾を縛り付けるな。

神尾に相応しいのは神尾に頼ってばかりのあなたではなく、元気づけることのできる

自分こそが結婚相手として相応しい。もう神尾に連絡してくんな』と。
 



 根米は元々神尾の代わりに友里への返信の文を考え送信していたのだが、

この夜神尾を差し置き勝手に自分の意志だけで友里に神尾の側から離れろと

攻撃的なメールを送りつけたことで、ますます神尾攻略の意志が固まった。


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