『苦しめてごめん・・』―消せない過ちを悔いる日々―
やられた、と思った。アイッだ、間違いなく犯人は。根米菜々緒。
なんてことを、信じられないヤツだ。
「えっと・・それは・・根米だ。彼女が君に送信したんだ。友里、俺の送信記録見て」
俺は友里にスマホを渡した。
じっと見ていた友里から出た言葉・・。
「登録のアドレスが私のものじゃないから、意図的にその根米っていう人に
変えられてた可能性が高いね。
何度送っても届かないはずだよね」
やるせない表情の友里からスマホを返された。
「私からのメールや電話もブロックされてたんでしょうね、たぶん。
それで私たちはお互いに連絡を取れなくされてた。
堕胎した時に、一度でいいから皇紀に会いたかったなぁ~」
あの夏、一度でいいから顔を見せに帰って欲しかった、
一緒に寄り添って欲しかった。
今更言っても詮無いことと『会いたかった』と言うに留めた友里だった。
怒るところなのに『一度でいいから会いたかったなぁ~』とかわいいことを呟く
友里に、返せる言葉があろうはずもなく、皇紀はうなだれるしかなかった。
「たぶんその根米って同じ人からだと思うけど、先月その人自身の携帯からかな、
注意喚起のメールが届いてるんだけど読んでみる?」
先月にまた友里にあてて連絡を寄こしていたという根米のメール。
悪い予感しかしない。
『こんにちは、お久しぶりです。どう? その後神尾くんからは連絡ありましたか?
あの男はほんとに酷い奴。
彼の本当の正体をあなたに教えてあげようと思いメールします。
あなたに中絶を勧めた理由知ってるかしら?
いろいろ上手いこと言って堕ろすように言ったんじゃない?
彼ね、あなたのこと疑ってたの。
お腹の子がもしかしたら他の男の子かもしれないってね。
それとあの頃は私とも付き合い始めてたから、あなたと子供のことが
煩わしくなっていたのかもね。
私もね、付き合ってたのに結婚なんかしないって言われて騙されたの。
悔しいからあなたに本当のことを教えてあげようと思って。
彼ね、私とのことが問題になって会社を首になったわ。
しばらくしたらこちらでの生活をたたんでそちらに帰るかもしれないけど
上手く騙されて絆されないようにお気をつけ遊ばせ』
最後の『お気をつけ遊ばせ』の文字が終わってもきまりが悪くて
友里の顔がまともに見られない。
あまりに気まず過ぎる。