『苦しめてごめん・・』―消せない過ちを悔いる日々―
 どうやら略奪? 女のようだ。

 ご丁寧にホテルでのふたりの様子まで画像を添付して知らせてきてる。


 これって、皇紀は知ってるんだろうか。

 あまりのことにショックが大き過ぎて、まんじりともせず翌朝を迎えた。





 とにかく皇紀と一度話をしなきゃあと思い私は考え直してくれないかと

メールや電話で何度も連絡を入れたのだけれど、翌日だけじゃあなく、ずっと

なしのつぶてで皇紀から連絡が来ることは二度となかった。




 悩み過ぎたのがいけなかったのか、何が原因なのかは分からずじまいだったけれど

休み明けに産婦人科に行くと赤ちゃんの心音が聞こえなくなっていて、

望むと望まざるとに係わらず私の赤ちゃんは翌日お腹の中から消え去った。




 心音があっても無くても堕胎手術に変わりはない。

 いい子だね、親が苦しまないよう自分から身を引いたのだ。

 ごめんね・・ありがと・・ごめんね。
 会いたかった、お母さんはあなたに会いたかった。 



 新しい命が誕生し歓喜している人もいる同じ部屋で新しい命を失い
失意のどん底にいる者もいる。何て残酷な場所。


 産婦人科の病室とはそういうところ。
 私は術後すぐに医院を後にした。




 産後の肥立が悪いという台詞を耳にすることがあるが、私は堕胎後、
調子が悪くその日も翌日も寝て過ごした。



 このまま調子が本調子に戻らない場合を考えるとよけい一度買い出しに
行っておかないと、立ち上がれなくなる前に。


 そう思い身体の様子を見ながら術後二日目に気合を入れ買い出しに出掛けた。



 友里は皇紀の子を堕胎して体調を崩すも、なかなか皇紀とも連絡が取れず。


 恋人の皇紀が束縛激しく友里が友人たちと親しくするのを嫌がった為
男女共に5人いた友達とは音信不通になっていた。



 よほど誰かに連絡をして助けてもらおうか、とも思った友里だったが、
一方的に恋人の言う通り友達関係を切った手前、都合の悪い困った時だけ
連絡するなんてことはできなかった。



 そんな中、どうにか買い物に出た先で幼稚園の頃から高校までずっと同じで
友達の中でも一番気心の知れた小倉俊哉(おぐらとしや)と遭遇する。



「久しぶり」の言葉を交わして俊哉は通り過ぎるつもりだった。


 恋人の為に自分との係わりを切った相手だったから。
 

 すれ違って4~5歩めの足を出したところで友里の声が背中を追いかけてきた。


「俊哉くん、行かないで・・助けて・・」



 声のする方に振り向くと友里が顔に片手を当てて泣いているのが見て取れた。

< 24 / 33 >

この作品をシェア

pagetop