『苦しめてごめん・・』―消せない過ちを悔いる日々―
「ふふんっ。またその彼女から悩ましいメールがきたら言って。返事を考えたげるよ」
そんな風に神尾にあれこれ世話を焼いていた根米だったが、出先から営業の人間が
ポツポツ帰って来はじめた頃、神尾の席から離れて行った。
こんな風に転勤後2か月目の半ば辺りから俺と根米との距離が少しずつ近くなっていった。
あれからも2度ほど友里から寂しいというメールが届き、ずっと気になっていた俺は
月末の土・日を利用して郷里に帰ることにした。
俺は友里に一泊で帰ることを電話で連絡した。
メールだと根米に読まれる可能性があったから。
帰るにあたり以前借りていた家はすでに賃貸契約を解約していて
俺には戻る家がすでになく、それもあって一人暮らしをしている友里の家で
泊まることになった。
◇ ◇ ◇ ◇
「ただいまー」
「お帰りなさい。無理言ってごめんね。
寂しくて・・ずっと皇紀の顔見れてなくて、そしたら会いたいなぁーって」
俺はそんな可愛いことを言う友里の頭をクシャクシャッと撫でた。
「俺の方こそごめん。
自分のことだけで頭がいっぱいでさ、友里のこと構ってやれなくて。
まぁ~、とにかくあっちでは予想外にえらい目にあってるわ」
「ほんと大変な時にごめんね。
でももう私には話せる人が皇紀しかいないから」
「そうだよな、それ俺のせいだから。
それなのにちゃんと話し相手になれてなくてごめん」
「やっぱり3年しないとこっちには帰って来れないんだよね?」
「そんな感じだな。
長引きそうな予感はしても短くなりそうな予感はしないな」
「私もいっそのこと皇紀の側に行こうかな」
「それができりゃあ一番いいんだろうけど・・。ま、追い追い考えよう」
結婚が決まった者同士でもないのに気安く『あっちへ来いよ』とも言えない。
今の状況はとにかく何もかもが宙ぶらりん過ぎた。
将来の可能性を残しつつ俺は逸る友里を何とか宥めた。