『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
そして翌日の時間外保育の時間になり、予想通り眞奈が比奈ちゃんと遊ぶというので、
買い物など済ませていた苺佳は大林が迎えに来るまで比奈ちゃんといようと、文庫本を手に
ちらちらと子供たちの様子を見ながら時間をやり過ごした。
「あっ、瑤《けい》ちゃんっ」
と口にするや否や、比奈ちゃんは大林の来る方へと駆け出した。
『やっぱり親子だね~、気にして待ってたんだ』
「こんにちは。お疲れ様です」
「あぁ・・こんにちは。どうし・・ですか?」
「比奈ねぇ、ずっと眞奈ちゃんと遊んでたんだよ」
「そっか、良かったな。じゃあ、帰ろっか、カバン取ってきな」
「はーい」
そう言いながら、彼女も比奈ちゃんのあとを付いて行った。
もうこれ以上話すこともなさそうだったので、私も眞奈を促してそのまま
帰ることにした。
あ~あ、なんか取りつく島もないって感じ。
こういう予感がしなくもなかったが、世間話でもいいのでもう少しは会話が
あると思ってたんだけど・・やっぱり大林は大林だった。
折角子供同士が仲いいんだから親も少しはね、って思う私はおかしいのかな。
そんなふうに気落ちして帰ったのが週末で、大林の態度に気落ちしてしまった苺佳は
翌週からはまた、眞奈が比奈と居残って遊びたいと言えば遊ばせたけれど、大林と
バッティングしないよう比奈のお迎えがありそな時間の15分くらい前には
眞奈を連れて帰るようにした。
月曜日から木曜日までやはり18時45分時点で
大林が比奈を迎えに来れることは一度もなかった。
比奈が寂しそうな顔をするので5分延長して18時50分まで粘った日も
あったのだが。
小さな子の寂しそうな顔、境遇など見たからには、知ってしまったからには、
とても耐えられない苺佳は大林にコテンパンにやられるかもしれないことを覚悟して
ある提案を申し出ることを考えていた。