『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
なんで?
自分は大林のことなどスターだとも思ってないし特別な感情などない・・はず。
それならどうしてこんなにも周囲の醸し出す空気に瞬時に反応してしまうのか?
そんな風に自問自答している苺佳の動揺を知ってか知らずか、気が付けば
ズンズンと大林が自分のいる方へと向かって来るではないか。
何故か焦る自分を感じる苺佳だった。
「やぁ、私が最後みたいだな」
焦るふうでもなく、彼女は挨拶代わりのように話しかけてきた。
普通は『あー、遅刻するかと思っちゃった~、こんにちは』くらいの挨拶をするのでは?
あとはさぁ、『今日は晴れてて良かったね』とか、地味にお天気の話で
会話を繋ぐものなんじゃないの。
・・な~んて私も一人目の子で他のお母さんたちとの遣り取りは未経験なんだけど。
脳内で彼女に対して非難めいたことをあれこれグダグダ考えながら
目の前の人の行動を見ていたら・・彼女、あとは余計なことは話さず、
さっさと先生のところまでプランターを貰いに行ってしまった。
いけないっ、私ったら後から来た人に負けてるじゃないの。
悔しい~。
だけどこんなことに闘志を燃やす私って小さい人間だわ。
いやだぁ、もう。
今日の私の出で立ち、土いじりするから洋服コーデはブルージーンズに
白の長袖チュニックにした。
対して彼女はというと、黒のTシャツにインディゴのスリムパンツ、Tシャツの上には
マフラーのような丈長めのタイのような形状のものを鎖骨辺りで結び目を作り
そのまま下に垂らしている。
なんなのなんなの、そのモデルが纏うようなコーデ。
しかもタイは実に彼女に映えてる。
颯爽と現れた瞬間からただのTシャツとパンツを纏った彼女は
皆の目に特別な人間として異彩を放ち、私をもいろいろと困惑させたのだ。
私はどうして困惑などしたというのか?