『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
 「悪い、その質問保留な。

 答えるには今日はちょっと時間が足りないや。

 今から病院行かなきゃだし、お迎えに行った時か、夜にでも話すわ。

 じゃあ行ってきます、お先に。比奈のことよろしく」
 


 そう言って彼女はヒラヒラと比奈ちゃんや私たちに手を振り、
来た時とは対照的に速足で園を後にした。



 元々、彼女、今日は一日有給を取る手はずにしていたようだが、

私が比奈ちゃんを預かるということになり、今日のことも半日預かれると

話したところ、午後からの出勤を決めたようだった。


 外来患者の診察以外にもいろいろとこなさなければならない業務が
山ほどあるからだと聞いている。


 それにしても何だろう、複雑な事情でもあるのだろうか。

 そんな含みのあるよう言葉を残して帰って行った人。


 彼女の旦那さんって今、海外にいるとか? そんなことしか閃かず、
彼女が比奈ちゃんを我が家に迎えに来る時までご主人の話は待つしかなかった。


 モヤモヤしていたものの、子供たちのお昼ご飯の用意をしたり
家の用事をしているうちに、あっという間にお迎えの時間になった。


 けど、彼女も夕飯の支度のこととかもあり案の定、我が家で話し込める
時間などあろうはずもなく、ご主人の話は夜へと繰り越されることとなった。



◇真実


 その夜、大林さんからLINEが届いた。


『今から電話しようかと。いいかな?』と。『トゥルルルゥ~』

『もしもし』

『お待たせ・・・』

『・・』


『比奈は実の娘じゃないんだ。急死した姉の子なんだ』

『え~っ』私は情けない声しか出せなかった。


『驚かせてゴメン』

『そっか、それであなたのこと、瑤ちゃんって呼んでたのね』


『教えてないのに、保育園ではママって言ってるらしい』

『健気だね、泣きそう』


『泣いてろっ』
 
 そんな言い方おかしくない? 

 時々、私の理解不能なことを言ってくる彼女に腹立つぅ。


『ゴメン・・』

『許さんっ』

『『ふふっ』
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