『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
「おっ、いいんじゃないか。

 無農薬で新鮮なの食べられそうでいいねいいねー。

 水遣りくらいなら手伝うよ」



「ありがとー、なんかやる気出てきちゃったぁ。

 来月のふれあい、ほんとに無理しなくていいからね。
 
 眞奈のお友達んちもおかあさんが出席するみたいで、私一人ってわけじゃないから」


「そうか・・」


「うん」


 英介さんに父親ふれあい保育の話をしながら、できれば今回はむしろ

仕事が入って来られなくなったほうがいいのになんて、ふっと頭の片隅で

そんな思いが過ってしまった。


 そのことに少し罪悪感を持ったけれど、一方で大林さんたち親子のことを思うと

しようがないじゃない、っていう心の声もした。

 眞奈のところには父親がいて、自分んちにはいないっていうことを

 比奈ちゃんがどう思うだろうか、寂しく思わないだろうか・・と

考えずにはいられなかったんだもの。


 果たして・・6月の父親ふれあい保育の日、夫は仕事が入り参加すること叶わず。

 なので、大林家と古家家では他所の父親たちに混じり、私たち母親の参加となった。


 父親不在の親子は私の予想に反して少なかった。

 私たち2組の他に2組ほど、他は父親参加で母親も一緒に付いてきている人たちもいた。


 私の(うち)が父親不参加で良かったって心の底から思った。


 この先もずっと小学校に上がってからも父親参観ってあるよね。

 そう遠くない将来のことを思い、憂鬱な気持ちになったのは・・
イベント開始する為全員が集合した時のこと。


 苗付けを一度経験している母親の私たちはサツマイモの苗付けをテキパキと
あっと言う間にやっつけた。


 不思議と前回とは違い4人はおしゃべりもせず黙々と作業をこなした。


 周りの父親組は子供たちと楽し気にテーマ通りふれあいをメインに
時間をかけてこなしている。
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