『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
「苺佳、ちょっと話があるんだ」

「ン? なぁ~に」

「今日は1人にしてごめん。反省してる」


「分からないよ、瑤ちゃんって人が分からなくなっちゃった。だめぽー」


「だめぽーって何かな?」


 言葉尻の掠《かす》れた瑤のいつものらしくない弱気な物言いが続いた。


「瑤ちゃんのことが理解できなくなりましたー。無理になりましたー。
無理無理無理ぃ~ってこと・・かな」


 今まで見たことのない表情の見えない顔で苺佳からそんな風に言葉を返され、
瑤は絶句した。


 やさしい苺佳だから、
『えー、そんなこと気にしてないよー、大丈夫だよ』って返事が返ってくると
能天気に考えていたのだ。



「えっ、それって・・」

 まさか、もしかして、絶縁されそうってことか?

 私のことを『無理』ってことなんだろ。ヤァバァイ。

 そっ、それは困る。




「待って、ちゃんと理由を説明す(るから)」

と続けて話そうとしたのに
そんな私の顔を凝視していた苺佳の表情が見る見るうちに泣き顔に崩れた。



『えっ、まじ、本当にどんどんヤバイ状況になっていってるよ。
今日のところは何も言わずにいたほうがよかったのかもしれない』と瑤は思った。


 自分は藪をつついてしまったのかもしれないと、この時気付いたのだったが時すでに遅し。



 苺佳が瑤の目の前に立ち、瑤の腕や胸に・・手を握り締め作った左右の拳で
交互にどんどん叩き始めた。


「なんなの、なんなの、なんなのよぉ~。

瑤ちゃんがそんな人だったなんて、友達をつま弾きにするような人だったなんて、

軽蔑する、け・い・べ・つするぅ~。うっうっ」





 涙をボロボロ零しながら、なりふり構わず気持ちをぶつけて来た。




どうしようもなくて、どうすれば正解なのかもわからず、瑤は

『ごめんな、悪かった、許して』を何度も繰り返しながら

苺佳に叩かれながら、両手で彼女を抱き締め続けた。


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