『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
 そして、しばらくして苺佳の激情が少し納まった頃合いを見計らって瑤は苺佳に尋ねた。


「な、どうしたら許してくれる?」

「許さないよ」

「許してくれないかなぁ~。せめて理由だけでも聞いてくんないかなぁ~」


 弱弱しい声でお願いしたのが功を奏したのか、苺佳が許さないとは言わず黙り込んだ。
 
 ・・ので、ここはチャンスとばかりに瑤は理由を話すことにした。



「可愛い苺佳が羨ましくて嫉妬した。見たんだ、しっかりと。昨日苺佳の旦那をね。

あんなにカッコイイ旦那のいる苺佳に嫉妬した。

私なんて恋人もいないっていうのにさ。

だからむしゃくしゃして、気が付いたら意地悪してた。

ほんとにいやらしい人間ですまない。

なぁ、友達でなくてもいいから付き合いは止めないでほしい・・」



「それって、どういう・・?」


 瑤の腕の中で少し顔を上げ瑤の鎖骨辺りから首筋を見つめながら苺佳が訊いた。


「下僕になる。今日から苺佳の下僕になるから・・その」



 あの瑤が、今までの態度が嘘のようなことを言い出して、苺佳は面喰ってしまう。

そして彼女が自分に本気で謝罪していると感じることもできる。

一気に苺佳の中に渦巻いていた何かが・・憤怒が・・溶けていくのを感じた。


          ◇ ◇ ◇ ◇


瑤とのことは、今日あった嫌なことは、時間を掛けて忘れよう、忘れて

保育園に通園している間は気まずくならないようやり過ごし、

子供たちが小学校へ上がり別々になった頃自然の成り行きに任せよう、

きっとそれで疎遠になってゆくことだろうし、などと自分の気持ちを宥めていたのに、

瑤のほうが問題を蒸し返してきたのだ。



 それで一気に苺佳の感情が爆発してしまったのだった。



「瑤ちゃんがそんなことを憂いてたなんて・・。

瑤ちゃんこそ綺麗でカッコ良くておかあさんたちのアイドルなんだよ。

 私のほうこそ瑤ちゃんに憧れるよぉー」


と苺佳が嬉しくもない台詞で自分を慰めてくれる。
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