『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
 急に? 感が半端なくて・・これからも仲良くしようね的な話をしたばかりなのに、
急に会わないというか会えない環境になってしまい、寂しく感じる苺佳だった。




 待って待って・・だけど送迎の時に時間が合えば、毎日じゃなくても

ちらっと顔くらいは見られるかもしれない、などと考えたが、

送迎にも彼女の母親が付き添って来るようになり、時々比奈の顔は見るものの、

瑤と顔を合わすことはなくなってしまった。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 蝉時雨の頃を過ぎ、すっかり秋の雰囲気に包まれ、日暮れ時になると

初秋の少し強めの冷たい風が吹き抜け、昼間にはきれいな青空日和が続く頃になっても

瑤ちゃんからは何の連絡も入らなかった。



          ◇ ◇ ◇ ◇


 残暑が残る九月の、日が暮れてからいつになく冷たい空気に気付いた日の週末の午後に。



「最近出かけてないから、明日久しぶりに電車に揺られて外食に行かない?」

「家族3人でお出かけって久しぶりよね。楽しみぃ~」



          ◇ ◇ ◇ ◇


 翌日私たちは最寄り駅までタクシーに乗り、そこから電車に。

お店は降りる駅から徒歩7~8分らしい。


『学生時代は友達と歩いて行ったけどね・・』と言いながらタクシーを使って店に到着。


 英介さんがマイカーで来なかった理由が分かった。


 駐車場が3~4台分しかスペースがなくて、しかも1台分は
軽自動車でないと止められないくらいしか面積がなかった。



 人気のお店だそうで私たちは少し並ばなければならなかった。

これが夕方以降になると、行列の人数が何倍にもなるらしい。


待つこと10分、ようやく私たちは暖簾を潜り引き戸を開けた。


庶民的なお店で、揚げ物独特の匂いとアルコールの匂いがした。

英介さんは結婚後も何度か来ているような口ぶりで私たちのオーダーを頼んでくれた。



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