『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
 ―――――――――― 苺佳たちは家族三人で串カツ屋へと ――――――――――



 串カツの他にはうずらの卵やタマネギ、れんこん、カボチャ、大根、コンニャク、

ベーコンブロックなどの野菜、肉系などとバラエティに富んでおり

お味のほうもばっちり、すごく美味しい。




 オリジナルソースと塩、和辛子、辛子とごま入りソース、特製ウスターソース、醤油、と
ソースもレパートリーが広く、さまざまなお味が楽しめた。



 ただ、個室ではない上に、入れ替わり立ち替わりみたいな空気感があり
部屋の造りと併せてちょっとゆったり寛げる場所とは言い難かった。


とても落ち着いて話せるような雰囲気にはなく、とにかくひたすら味を
堪能するっていう感じかな。



「どうだった? 上手かったろ?」

「うん、すごく。ご馳走様でした」


「眞奈ね、今度はもっと広いところがいいなぁ~。
おトイレも我慢しなきゃいけなかったし」


「あははっ、そうだねぇ~。
英介さん、今度は私が行ったことのある個室のあるところへ行ってみよう?」


「ン・・あぁそうだね」

「やったー」と眞奈がはしゃいだ。



 英介は学生時代の楽しい思い出の場所へ妻子を連れて来たのに
もうひとつ反応が薄いことにガッカリ感がぬぐえなかった。


 ひとこと『また来たいね』と言ってもらいたかったのだ。


 実際に再度来るかどうかは置いておいて。



 不満を呟いたのは娘の眞奈で、苺佳はそんな失礼な言葉は発していなかったのだが、

眞奈に同調したことで英介の脳内では何故か苺佳が不満を感じていたこととして変

換されてしまった。




 この時、英介の気持ちの中に今までなかった感情が生まれた。

 言葉では表現できない? 感情。


 その中のカケラ・・それは失望だった。


 互いの間に埋められない溝があると感じて酷く寂しい気持ちに囚われた。


 だがこんなことくらいで妻子に怒りや失望をぶつけたりはしない。


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