『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
◇馴れ初め


 夫の英介の家とは父親繋がりで苺佳が産まれた頃には、すでに
家族ぐるみの付き合いがあったそうな。


 英介は三兄弟の二番目で、三男の俊介が苺佳と同級だった。


 一方苺佳の家では、其の後(そののち)、きょうだいが産まれることはなく、
ひとり娘として苺佳は大事に育てられた。


 年に数えるほどではあるが、両家揃って避暑地でBBQなどして過ごすのが
恒例の行事となっており、親同様、子供たちも自然の流れで幼少の頃より交流があった。



 男児が三人もいるとヤンチャで大変なのでは? と思うが、ヤンチャなのは

三男の俊介だけで、次男(英介)、長男(恵介)と、上のふたりは小学生の頃より

両家で過ごす時だけの限定なのか? 普段はどうなのかまでは分からなかったが、

時として子供らしい振舞はあるものの、総じて我儘な言動もなく、

大人たちの言うことをよく聞いて、落ち着きがあった。





 苺佳と同い年の俊介は、闊達な子供で少しヤンチャなところも見受けられたが、
苺佳とは気が合ったようで、兄たちと走り回るのに飽きると苺佳のところへ行き、
一緒に別荘の庭で楽し気に話をしたり駆けまわったりして仲良く遊んだものだった。



 苺佳ちゃん、俊介くん、と呼び合う仲睦まじいふたりの様子を見るにつけ、

自然に将来ふたりが互いに納得したらば、俊介を古家家の跡取りとして養子に迎えたいと

いうような約束が両家で話し合われ、取り交わされていた。




 そのような両家での跡取問題のこともあり、苺佳と俊介が大学を卒業するまで
両家ではその後もずっと家族ぐるみで集うという行事が続けられた。


そして両家では各々、折に触れ本人たちに将来のことを話していたし、

子供たちから拒否るような発言もなかったことから、苺佳と俊介の結婚は

暗黙のうちに確定事項となっていた。




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