『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
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 離婚を突き付けると妻の理恵はあなたのことが好きだから別れたくないと言い、

俊介に対する悪態や男との遊びの証拠を突き付けると、ただの気晴らしだと埒もない

言い訳をし、離婚なんて露ほども考えたことはない、友達の前でいいかっこがしたくて

あなたのことを下げて悪態を付いたけれど本心ではなかった。

         


 でもあなたを悪しざまに言うことが良くないことは理解しているので謝るから、
今後は発言に気をつけるから許してくださいと泣き崩れ、ひたすら縋ってきた。


 これまでいつも勝ち気で、ともすると高慢とも取れる態度だった理恵のしおらしい
言動を聞いても、俊介の胸には何も響かなかった。


 人を騙して結婚し、挙句その相手に不服があるかのような下げまくりの発言を
友人にしていた理恵の、本意ではなかったとの縋る言葉を聞き、こんなクズが存在する
なんて・・と、ただただ俊介はあきれるしかなかった。


 散々な目に合わされた俊介は、以後女性不振に陥ってしまい今も独身でいる。





◇対決



 比奈ちゃんの預かりをしなくなってからほとんどと言っていいくらい瑤ちゃんの姿を
見かけなくなったのに、会いたくない時に限って会うんだな、これが。


 保育園へお迎えに行って眞奈と手を繋いで門の前まで来た時に、
苺佳は入って来る瑤と鉢合わせしてしまった。


苺佳は無言で通り過ぎた。



「苺佳、どうした?」

 苺佳は少しだけ振り向き、首を横に振った。



「苺佳、駐車場で待ってて、すぐ追いかけるから」



 一応は立ち止まり瑤の呼びかけは聞いたけれど返事は返さずに
ズンズン歩き出す苺佳。


駐車場に着きドアを開けようとすると

「ね、苺佳ちゃん瑤ちゃんが待っててって言ってたよ」
そう言って眞奈が私の行動を止める。



「待とうよ、私、比奈ちゃんとここで遊んで帰りたい」


「眞奈、今日はね、お母さん急ぎのご用があるんだ。
 比奈ちゃんとはまた今度遊ぼ」


「お母さん、お願い少しだけ」
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