『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
おまけに眞奈も水族館に行きたいとは言わなかった。
あまりにも長期間娘と関わることのなかった父親の末路が見えたような気がした。
娘は私のように夫の裏切りを知っているわけではなく、嫌う理由は
ないはずだけど、甘えられる対象から少しずつ少しずつ外されているのかもしれない。
そう心の距離が離れていってるのかもしれない。
同じ屋根の下に住んでいてもほとんど会話もなきゃ必然的にそうなるよね。
現に英介さん自身、私や娘に心が全く向いてなかったのだし。
何も気付かずに、ただひたすら英介さんのことを信じていた私は
寂しさを感じつつも一生懸命、触れ合える時間が少ない中、
夫の気持ちに寄り添おうと踏ん張ってきた。
英介さんに時間のゆとりができれば、また幸せな家族の時間を
取り戻せることができると。
だけどそれは私だけの、私からだけの一方通行で、
ピエロもいいところだったのだ。
夫の気持ちは別の女性に向いてたんだものね。
瑤ちゃんからの告白がすごく心の慰めになって、英介さんのことを憎む気持ちも
小さくなってたんだけど、何故か今頃になって突然家族へのサービスをしようと
している彼を見て、無性に腹立たしくなってきた。
おそらくだけど、山波美羅の都合が悪くなって会う予定がなくなり・・
からの家族サービスになったのだろう。
『英介さん、全部お見通しだよ』
私と眞奈はさ、あなたにあまり期待してないから・・っていうか、この先の
一緒の人生はもうないから、水族館にもそれから他の場所にもこの先一緒に
行くかは分からないわ。
一緒に行動できるか、分かんない・・自信ないや。
このまま休日は今まで通り美女と好きなだけお過ごしくださいな。
英介は先ほどの娘と妻の様子から違和感を覚えずにはいられなかった。
そんな風に感じる自分がおかしいのかも、とも思えたり。
だがやはり何か引っかかるのだった。
『え~っと、いつだっけ?』