『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
 
 苺佳の話を聞き、眞奈も大きくなり父親とどこかへ出かけるよりも
友達のほうがいい年齢になったのかと感慨深いものがあった。


 それならそれで言い方は悪いが勿怪(もっけ)の幸いではないか。


 苺佳も以前のように自分に依存してこないし、これで山波美羅と
過ごす時間を優先しても一切後ろめたさみたいなものを感じずに済むのだから。


 英介はそんな風にふたりと距離のできたことに寂しさを感じるでもなく、
少ない手持ちの自分の時間を自分だけの為に使えることに『助かるな』と
思うにとどまった。



 英介の浮気だか不倫なんだかが、判明した。

 可愛くて自分を慕う妻を尻目に余所見を続ける気満々の英介と
それをひとまず放置プレイしている苺佳、医師として多忙な日々を過ごす瑤の
・・それぞれの5月6月はあっという間に過ぎていった。


          ◇ ◇ ◇ ◇


 苺佳は瑤たちと一度週末を一緒に過ごした日から、ほぼ毎週末を
眞奈や比奈との4人で過ごすことが増えた。
 

 英介には、まだ何も問い詰めることをしていない。

 問い詰める切っ掛けが掴めずにいる苺佳だった。


 そんな中、昨年に続きまた七夕祭りの季節がやってきた。

 
 ここのところ毎週のように瑤に会っている苺佳だったから、
瑤が今年も参加することは知っている。


 毎週会えるようになったけど、やはりお泊りというのは特別なことで楽しみだった。


          ◇ ◇ ◇ ◇


 そして・・待ちわびた
    ――― 七夕祭りの夜のこと。



 今年も早寝をしてしまい、やっぱり夜中に目覚めると自分を見つめる瑤の顔が
間近に見えた。苺佳は微笑んで瑤に訊いた。



「どうしたの? 眠れないの? 私だけ先に寝ちゃってごめんね。

 確か去年もだったよね、私ったら先に寝てしまって」


 小さな囁くくらいの声音で一気に瑤ちゃんに話し掛けた。

 昨年の七夕のお泊りでは、ただただ驚くばかりだった。


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