『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
瑤ちゃんのこと、あまり知らなかったし緊張の方が勝っていて、今みたいに
とてもじゃないけど自然体で話し掛けたりできなかった。
瑤ちゃんに話し掛けながらそんな去年の自分たちの関係を
懐かしく頭の片隅で思い出していた。
今の瑤ちゃんなら昨年のような尖った物言いは返してこないだろう。
話し掛けながらそんなことも併せて苺佳は考えを巡らせた。
果たして・・瑤の返事は?
「寝る子は育つっていうだろう。
苺佳は子供みたいに健康的で羨ましいよ、ふっ」
その返しは何なの? とは思ったけれど瑤ちゃんの表情と物言いが
やさしかったので、良しとしよう。
私の欲しかった言葉じゃなかったけど。
・・って私は一体どんな言葉が欲しかったのだろう。
いくら考えてみても自分でも分からないけれど、
欲しかった言葉じゃないと言うことだけは分かった。
この後瑤ちゃんはやっぱり昨年のように背中を向けて眠るのかな?
寂しい。
そう思っていたら瑤ちゃんから話し掛けられて、ちょっとそわそわしてしまった。
「苺佳、手、かしてみ」
瑤ちゃんにそう言われて私は右側にいる彼女に左手を差し出した。
差し出した手の平に瑤ちゃんが自分の手の平を合わせてきた。
瑤ちゃんの右手はそっとソフトにぴったりと私の左手の手の平と合わされた。
その手は大きくてとっても長くてきれいな指が並んでいる。
肌から伝わってくる熱に少しドキドキした。
手の平を合わせただけで何も言わない瑤ちゃんに気付いた。
『えっ? これって何か意味があるから私たち手の平合わせてるのよね?
どういうこと、教えて』
心の中で❔マーク飛ばしてる私にゆっくりと手の平を離した瑤ちゃんが言った。
「寝ようか・・」
『は、なにそれ』
気持ちとは裏腹に私は素直に返事した。
「・・うん」