『愛が揺れるお嬢さん妻』 かわいいひと
 すぐに話をしに来てくれた瑤ちゃんに会わないわけにはいかないし、
話を聞かないわけにはいかず、私は玄関のドアを開けた。



 家の前の道路に路駐して比奈ちゃんと立ってる姿が見えた。


 私の姿を捉えた比奈ちゃんがスマホ画面を覗き込んでた瑤ちゃんに
教えてくれたみたいで瑤ちゃんも私のことを確認すると二人でこちらにやって来た。



「瑤ちゃんわざわざ来てくれたんだね。
ごめんね、ちょっとびっくりしちゃって声も掛けずに帰っちゃって。
 散らかってるけどどうぞ、比奈ちゃんもいらっしゃい」



「苺佳ちゃん、無花果ありがとー」


「たくさん食べてね。
 眞奈はおばあちゃん家行ってていないんだけど、絵本やブロックで遊んでていいからね」



「はーい」

「瑤ちゃん、コーヒー淹れるね」


「あぁ苺佳ありがと。だけどすぐに帰るから気使わないで。
話もすぐに済むし。座って・・。

 まずはわざわざ無花果重いのに持ってきてくれてありがと。
うれしいよ、比奈も私も好きだからね」


「喜んでもらえて、よかった」


「苺佳、さっきのおぞましいシーン見たくなかっただろうけど見たよな?」

「うん、見ちゃったね」

「あれ、忘れて」

「どうかな?」


「アイツはね、医学生だった頃に少しの間付き合ってた相手で、浮気者で裏切り者なんだ。


 ある日いきなり私との付き合いを止めると言ってきたんだ。

 その時にはもうすでに少し前から二股してたみたいで、別の女と付き合うから
私との付き合いは止めるって一方的に宣言してきた酷いヤツなんだよ。


 その時の彼女に振られたんじゃないのかな、急によりを戻したいと言ってきて。


 今日家に来たのも不意打ちで、抱き付いてきたのも不意打ちだったんだ。

 私の意志は微塵も入ってないから。
 
 これだけは苺佳に話しておきたかった」



「瑤ちゃん、今日見たの忘れることにする」


「そっか、ならよかった。じゃあ、帰るよ」

「うん、気をつけてね」

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