辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 そのときの戦功によってロベールは中央地域の伯爵位を、故郷を愛していたマルセルは辺境に留まり、辺境伯の地位を与えられた。

 辺境伯といっても、マルセルはもともとクアトリーを含む辺境のトルカ地方の領主たちをまとめていたため、盟主としての立ち位置は変わらなかったらしい。

 貴族になって三十年が経つのに彼がいまだに貴族らしからぬ言動なのは、そのせいだ。

 そしてそれは、彼に育てられたリティとふたりの兄も同じである。

「ねえ、ヒューイ。聞いてくれる?」

 リティがヒューイの首あたりの羽毛に顔を埋めながら言う。

体温によって温められた空気をたっぷり含んだ羽毛は、もっふりと彼女を包み込んだ。
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