冷徹御曹司の偽り妻のはずが、今日もひたすらに溺愛されています【憧れシンデレラシリーズ】
それから三年以上が経った今、彼の作品は大人気となり、予約しても作品が届くまで数年待ちとなっている。
それほど貴重なものをもらってもいいのだろうかと、杏奈は包みを見つめた。
「とにかく、開けてみてよ。気に入ってもらえると思うのよね」
「うん……」
杏奈は真波の視線に促され、丁寧にラッピングを解いて箱を開いた。
「……綺麗」
箱の中から現れたのは、赤を基調にした幾何学模様が刺繍された栞。
金糸がバランス良く混じっていてとても華やかだ。
「杏奈はいつも何かしら本を読んでるでしょ? だから栞にしたんだって。素敵でしょ?」
まるで自分の作品のように誇らしげに語る真波に、杏奈は大きくうなずいた。
「とても素敵。このまま飾りたいくらい綺麗。でもいいの? これ、すごく手が込んでるよね」
杏奈は栞を手に取り食い入るように見つめた。
細かい色合いにも気遣いが感じられる丁寧な仕事ぶりだ。
「伶央さん、忙しいのに、私のためにわざわざ……」
「いいのいいの。伶央と私の気持ち。というよりもらってくれないと、私が伶央に叱られるから返品は受け付けません」
杏奈は栞を箱の中に慎重に戻し、頭を下げた。
「伶央さんには私からもお礼のメッセージを送るけど、真波からもありがとうって伝えておいて」
「わかった。明日から一緒に九州に撮影に出かけるから、言っておくね」
「九州?」