冷徹御曹司の偽り妻のはずが、今日もひたすらに溺愛されています【憧れシンデレラシリーズ】
彼女も募集が始まってすぐに応募を済ませたらしく「今年はいけるはず」と自分のアイデアに自信を持っていた。
「総務部で応募していないのは三園さんだけらしいですよ。締め切りまでギリギリですけど、参加するだけで図書カードがもらえますし、三園さんも応募しましょうよ」
「えっと……私はいいの。新商品のアイデアなんて思いつかないし」
杏奈は立ち上がってまで力説する須田に圧倒される。
「そんなに堅く考えなくていいと思いますけど」
「そうじゃなくて、新商品のアイデアとか私には向いてないから」
須田の押しの強さに後ずさりながら、杏奈は首を横に振る。
「そこまで真面目に考えなくていいと思うんですよね。自分が食べたいものを好きに考えたりうちのお気に入りの商品をこんな感じで販売したらもっと売れるのにとか。部長もお遊び気分で応募したらいいって言ってましたよ」
「でも、私は……」
「三園さんはうちの商品にかなり詳しいから絶対にいいアイデアが出ると思うんです。是非応募しましょうよ」
「えっと……」
杏奈はどう言っても引き下がらない須田を前に口ごもる。
たしかに響の役に立ちたい一心で勉強していたおかげで商品知識はあるが、それを今回の募集に役立てる自信はない。
それだけでなく商品開発や販売とはまるで関係がない仕事に就いている自分があれこれ提案するなど、図々しい気がするのだ。