冷徹御曹司の偽り妻のはずが、今日もひたすらに溺愛されています【憧れシンデレラシリーズ】
「やっぱり私はやめておこうかな。あ、須田さんがよければ手伝わせて――」
「部長が」
「……部長?」
アシストしようと考えた杏奈の言葉を、須田は遮った。
「部長が、三園さんにも参加してほしいって言ってましたよ」
「え? どうして私?」
杏奈は眉を寄せる。
たしかに部長から参加するのかどうか何度か聞かれたような気がするが、杏奈が不参加だと知ってもとくに大きな反応は返ってこなかった。
「部長にはなにも言われてないけど?」
「ですよね。部長は優しいからなにも言わないと思います」
杏奈は窓際の部長の席をちらりと見やる。
まだ昼休憩から戻っていないようだ。
目立つことが苦手で人のサポートに回りがちな杏奈の地道な仕事ぶりも見落とすことなく評価し労ってくれる部長を、杏奈は心から信頼している。
「強制じゃないですけど、会社は全社員の参加を目標にしているそうです」
「うん。それはわかる」
参加賞を用意してまでアイデアを募集しているのだ、ひとりでも多くの社員に参加してほしいのだろうと推測できる。
「総務部とか人事部のような会社の本業に関わっていないスタッフ部門の社員にはとくに参加してほしいみたいです」
「え、どうして? 本業に関わっている社員の方がアイデア豊富だと思うけど」
杏奈は納得できず、首をかしげる。
商品開発や営業部門にいる社員の方が知識が多く経験値が高くてアイデアも浮かぶはずだ。