冷徹御曹司の偽り妻のはずが、今日もひたすらに溺愛されています【憧れシンデレラシリーズ】
切れ長の目と鼻筋がすっと通った端整な顔を前に、杏奈は頬を赤らめる。
「うん。私もそう思ってた。基おじさん……社長と響君、顔はもちろんだけどスタイルも似てるから、後ろ姿なんて見間違えそうだもん」
杏奈は赤い顔を隠すようにうつむき、カトラリーケースや盛り付けを終えたサラダを響の手元に手早く並べた。
響も基も身長が百八十センチを超えていて、手足が長く細身。
スーツ姿で並ぶとシルエットはそっくりだ。
顔も輪郭から各パーツの配置までよく似ていて、ふたりが親子だというのは誰の目にも明らかだ。
「へえ。やっぱりそうなんだな」
響はまんざらでもなさそうに答える。
「だけど見た目だけ似ても仕方がない。人としても経営者としても父さん以上の人間にならないと」
響は迷いのない声でつぶやいた。
その言葉だけで大企業の次期後継者という自身の立場を前向きに受け止め、社長である父を誇りに思っているのがわかる。
「頑張れ御曹司。だけど、呆れるくらい仕事好きで負けず嫌いの基が、息子相手に簡単に追いつかれるとは思わないけどな。今日のところは俺のチキンライスで力をたくわえておくといい」
「もちろん大盛りで」
朗らかに笑う洸太につられ、響も小気味よく答える。
響自身もすぐに父親に追いつけるとは思っていないのだろう。
その声は明るい。
「ポテトサラダも大盛りにしておくよ」
好物の大盛りが続き、響はうれしそうに表情を崩した。