冷徹御曹司の偽り妻のはずが、今日もひたすらに溺愛されています【憧れシンデレラシリーズ】
「たしかに社長は話し上手だけど、響君の話だってわかりやすくて信頼できる。それが理由でうちの株を買ったお客さんがいるって証券会社の人から聞いたこともあるし。だから社長を意識する必要はないと思う。それに料理の宅配事業も響君がブラッシュアップして盛り上げて……あ」
勢いに任せてつい余計なことを口にしてしまった。
「ごめんなさい……」
恐る恐る視線を向けると、響が驚いたように杏奈をまっすぐ見つめている。
「あ、あの。生意気なことを言っちゃって……なにも知らないのに」
響を怒らせてしまったかもしれないと、杏奈は慌てる。
「なにも知らないってことはないだろ。杏奈は生まれたときから俺のことを見てきたんだ、家族以上に俺を理解してくれてると思うけど、それは俺のうぬぼれか?」
「う、ううん。そのつもりっていうか、えっと、そうだったらいいなって、思ってる」
響に顔を覗き込まれ、杏奈はしどろもどろに答える。
「それにしたって俺を信頼して株を買ってくれた人がいるのか? だったら早く言えよ」
響は柔らかな笑みを浮かべ杏奈の頭にポンと手を置いた。
「それに、今も杏奈は俺の一番の味方で、俺を応援してくれてるんだよな」
響はそう言うと、頭に置いていた手で杏奈の頬をスッと撫でる。
その自然な動きに杏奈は身体を震わせ、響を見つめた。
あっという間に全身が熱くなる。