ワケアリ(オカルトファンタジー)



「灯子(とうこ)、朝だぞ。起きろ」



彼はそうやって閉められたドアの向こうにいるだろう、娘に向かって声をかけた。


キッチンへとまた戻り、朝食の準備をする。


朝の澄み切った空気に、食べ物の匂いが混じって、今日一日の始まりを告げる。


少し離れた場所から、ドアの開く音が聞こえる。



「おはよう、お父さん」



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