ワケアリ(オカルトファンタジー)


珍しく声をかけられ、父と呼ばれ、朝食を作っていた彼の手が一瞬止まる。


そういえば新聞を玄関にとりに行く時、いつの間にか人形がなくなっていたな。


本当は少し罪悪感があって、夜中に持って行ったのだろうと思っていた。


彼は少し嬉しさが堪えきれずに表情に表れ、綻ばせた表情のまま、「おはよう」と娘に返した。


娘は、うっすらと笑いながら。



「お父さん、鬼ごっこしよう…?」



娘の背中に隠された鉈が、光っていた。











END

NEXT No2
『呼び鈴』
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