女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 咄嗟に笑顔を作って、一気に捲し立てるように言うと、一礼して駆け足で病院を後にする。
「え? 優里ちゃん待って!」
 笠松先生に呼び止められたけど、振り返らずにそのまま走った。
 スーパーに立ち寄らなくても食材はある。
 玲人くんのマンションに帰ると、まずキッチンに行き、炊飯予約をして、生姜焼きを作る。
 朝玲人くんに約束したから、ここを出ていく前に絶対に用意しておきたかった。
 彼にご飯を作るのも最後……か。
 玉ねぎを切っているせいか、涙がポロポロ落ちてきて、涙で手元がよく見えない。
「目……痛い」
 途中ティッシュで涙を拭って、やっと生姜焼きを完成させた。
 生姜焼きを作るのにこんなに泣いたのは初めてだ。
 皿に盛り付けてラップをし、ダイニングテーブルに置く。
 味噌汁も作り、メモを残そうと紙とペンを手に取った。
 でも、いい文面が浮かばない。
【さよなら】って書くのはなんだか辛気くさいし、彼だって食欲をなくす。
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