聖母のマリ子

桃の聖典

 桃の属性の効力は大きく3つあるという。

 『王族が持つ呪いを浄化する力』

 『呪いをおさえ愛情を解放し増幅させる力』

 『桃の属性を増やす力』

 その力は保有者が幸せを感じた時に魔力が放出されることで発揮され、それは幸せを感じれば感じる程、より多く質の高いものとなる。

 それだけ聞くと雪だるま式に愛情が増幅していきそうな気がするが、それに勝る力が呪いにあるということなのだろう。

 肝心な呪いの浄化に関してはより直接的な方法で、桃の属性保有者が王族の体液を体内に取り込むことで、そこに含まれている呪いを少しずつ浄化していくらしい‥‥

 それを神から聞かされた時の私、以前ジュリアに子作り方法を尋ねた時以上に白目になってしまったよね‥‥

 夢で聖女が言ってた『愛する』の意味がまさかそんな意味だったなんて、想像できなくて当たり前だと思うの。

 まあ‥‥わかりやすくていい。うん、そういうことにしておこう。

 それにこの方法ならエドは恐らく過去最大の浄化をなし得るに違いない。彼の絶倫ぶりはまさにファンタジーなのである。

 とにかく、これまでは手探りでしかなかった聖母の使命がはっきりとしたからには、知り得た情報を元に今後どう動くかを決めなくてはいけない。

 一番の悩みどころは『呪い』についてだ。

 ファンタジー級絶倫王子の異名を持つエドをもってしても、呪いの浄化を完了できるとは限らないのだ。孫子の代まで浄化が続く可能性を考慮して動くべきだろう。

 呪いの浄化に桃の属性保有者との性交が必要だと知った上で愛情を育むこと‥‥それはそんなに難しいことなのだろうか?

 この選択を間違えれば呪いを浄化しきれず、過去の繰り返しになってしまう。

 デリケート過ぎるこの問題をひとりで抱えるのは危険かもしれない。ジャンさん‥‥いや、ここはまず大司教に相談すべきなんだと思う。

 神と話したおかげでこれまで大司教が私達を誤魔化し続けていたことがはっきりした。仕方がなかったとはいえ、それであっさり信用できるかと言われれば、到底無理な話である。

 でも呪いのことを知っているのは恐らく大司教だけなのだ。彼の協力は不可欠で、そのためにも話し合いは避けては通れない。

 最後の夢日記を書き終えた私は、ジュリアに大司教への面会の手配をお願いした。

 相手は難攻不落の腹黒大司教だ、今度こそ言いくるめられぬよう、気合いを入れて挑まねばなるまい。
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