誰にも言えない秘密の恋をしました       (君にこの唄を捧ぐ)

そして2人距離は近くなる

そして数日、
蓮は熱でうなされながら、身体中の激痛に耐え、なかなか治らない頭痛にも耐えた。

日がな一日寝ているばかりで、トイレにさえ自由にいけない日々を過ごした。

勘当された実家からはたいそうな花束だけが1つ届き、3日後に従兄弟がこっそり見舞いに来ただけ。

蓮自体も肉親なんてそんなもんだろうなと、妙に納得した。

家督を継がない息子は既に用無しだ。
のたれ死のうが知ったこっちゃ無いのだろう。

3日後にやっと熱が下がり起き上がる事が出来た。
そして1週間後、右手右足の回復手術をした。

その日から松葉杖を突きながらだが、なんとか1人で歩ける様になる。

夕方からは、警察が数人やって来て事故に関しての事情聴取が行われた。
気の滅入る事ばかりだ。

後日連絡が入り、幸い現場検証で故意では無く事故だと言う事が証明出来たので、思っていたよりも早く解決した。

これでマスコミも少しは大人しくなってくれる筈だ。

少し心に余裕が出来た為、蓮は暇を持て余しマネージャーの森元の勧めで作曲作りを始める。

音楽はいい。
一日中没頭していれば嫌な現実から束の間、逃避出来る。

今や煩わしい世の中から、束の間逃げる為に作曲をしているようなものだ。

そんな空虚な入院生活の中で、蓮は一つだけ我儘を病院側に提案した。

渡瀬心菜を入院の間、自分担当の看護師にして欲しいと言う事。

それというのも、毎日変わる看護師達が蓮に近付ける事に色めき立ち、用も無いのに覗きに来たり、媚びを売って来たりするから、ストレスが溜まり睡眠も上手く取れず、ほとほと疲れたからだ。

3日目には年配の看護師長が、担当になって落ち着いたのだが。

蓮からしてみたら、気軽に頼める相手では無く、それはそれで気を遣って疲れた。
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